海外のプログラミング教育事情

2020年から始まる小学校プログラミング教育の必修化。今プログラミング教育を義務教育などに盛り込む流れが世界中で進んでいます。では、その「海を越えた先」の土地では、どこまでプログラミング教育が進んでいるのでしょうか?

今回は文部科学省が出した「諸外国におけるプログラミング教育に関する調査研究」(2014)を元に海外プログラミング教育事情を説明していきます。

IT先進国のプログラミング教育事情

ここでは、プログラミング教育に力をいれている数多くの国の中から、特に力を入れている2つの国の事情を紹介します。

まずはフィンランドです。

人口550万人、1917年の独立から20年ほどで第二次世界大戦が勃発し、そのどさくさに紛れてソビエト連邦(現・ロシア)から宣戦布告され、冬戦争となります。領土の10分の1を失い、その後継続戦争を戦い抜くなどしました。結局一部の領土を失ったものの、バルト三国のようにソ連に併合されたり、東欧諸国のようにソ連の衛星国家化や社会主義化されることなく、ソ連が崩壊した後も独立を保っている国です。

そんなフィンランドでは国民の権利として「インターネットに接続する権利」を国が保証するなど、ITに力を入れている国でもあります。調査結果がまとめられた2014年時点では国のカリキュラムとしてのプログラミング教育は行われていませんでしたが、2016年より1-9年生の義務教育期間にプログラミング教育を導入しています。

具体的に見てみると、1-2年生の頃には遊びを通して他の生徒に明確な指示を与える練習をしています。これはプログラミングでは「コンピュータに正確な指示を送ることが重要だ」としており、その能力を身につけるためのようです。3-6年生ではビジュアルプログラミングを使用し、7-9年生(日本でいう中学生の頃)から本格的なプログラミング言語を学び始めています。

お次はエストニアです。

人口130万人、さいたま市の人口とほぼ同じくらいの人が住んでいます。フィンランドがソ連からの独立を保ったのに対して、エストニアは1940年、リトアニア、ラトビアと共に併合されてしまいます。独立を回復したのはソ連崩壊の年である1991年です。

人口や併合された歴史など、国としては小国でありながら、無料でビデオ通話などが使えるコミュニケーションツール「Skype」が生まれた国であり、日本だと役所に行かなくてはいけない諸々の手続きがインターネットを介して行えるなど、IT先進国として知られています。

そんなエストニアでは、2012年より”Proge Tiiger”と呼ばれるプログラミング教育推進プログラムが開始されています。このプログラムでは1-12年生を対象に全ての公立学校でプログラミングの授業を選択できるようにすることが目標とされています。

内容としては、ロボットプログラムやゲームプログラムを用いて、プログラミングに興味を持たせる活動に重点を置いている学校が多いとのこと。また、一部のアッパーセカンダリースクール(後期中等学校。日本でいう高等学校のこと)ではPython、Javaなどのプログラミング言語を用いたプログラミング教育を選択科目として設置しています。

ただし、プログラミング教育をどこまで行うか、そもそも導入するのかは学校や指導者の判断に委ねられており、対象としている学年、授業時数も学校によって異なっています。また、2015年現在の方針としては、今後もプログラミング教育を義務化する予定はないとのことです。

日本と関係の深い国のプログラミング教育事情

お次は日本と関係の深い国から韓国とアメリカを取り上げていきます。韓国はアジアの中では最も早くコンピュータ教育の必要性を提唱し、導入を行った国のひとつです。

初等学校から中学校まで必修科目の中にITCリテラシー教育が含まれていますが、プログラミング教育が含まれている科目は中学校・高等学校共に選択科目となっています。高等学校の「情報」の科目ではPythonを用いてプログラミング教育が行われています。

最後はアメリカ合衆国です。

アメリカは合衆国の名の通り、州の集合体であるため、教育に関しても州や学校により様々な形で行われています。コンピュータサイエンスとしてプログラミングの授業が取り入れられていますが、必修化はされておらず、選択科目として学べるようになっています。

必修化に踏み切った日本

以上、4つの国のプログラミング教育事情を見てみました。日本では2020年にプログラミング教育必修化としましたが、海外と比べてやはり出遅れており、問題点もまだまだ残っています。その一つに「指導者不足」が上げられます。

調査結果の要約では最後にこのような文が付け加えられています。

「プログラミング教育は単一の教科とはなっておらず、その体系化や指導者不足などが課題とされている」(諸外国におけるプログラミング教育,文部科学省,2014)

必修となるとその分指導者の数が必要となります。プログラミング教育の必修化と同時に、十分な質が保証された指導者が確保できるか。これからの課題となっています。

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